2008年3月2日

JAPANサッカーに夢はあるか

こないだ、発売中のnumberのコピーを見て、ああ、惜しい、と思った。

「岡田JAPANに夢はあるか。」

今現在ほんと目の前のことを語るなら、このコピーで妥当だと思う。
けど、僕がこの時考えていたのは、「日本サッカーに夢はあるか。」だったのだ。

ちょうど、東アジア選手権がやっていた頃で、画面越しに見る日本代表の選手たちのプレーに、なんとも勢いを感じられず、「これは、観客減るだろう(視聴率も、チケット販売も)」と思ったからだ。

そう思ったのは、以下の2点から。

・チームを鼓舞するリーダーの不在
・目標達成までのロードマップのわかりにくさ

なんか、皆の気持ちを集約できる様な、ゴリっとした軸を持っている選手が見受けられない。
DF中沢は、熱さと経験と技術があり、その役割を担えそうではあると思う。けど、中盤や前線で、引っ張る人がいないのがすごく寂しい。ピッチのリーダーシップは、選手だけでなく、観ているものをも魅了するもの。そうした要素がなくても機能する、という今のプレイスタイルは、勝てなかった場合、非常にさみしい後味を残すと思う。

それから、「W杯で勝利する」という目標に向けて行っている改革(練習)のロードマップが見えにくいのも気になる。トルシエ時代なら「フラットスリー」、ジーコ時代なら、「ブラジル流サッカー」。どちらもとてもシンプルで、勝ち負け関係なく、観ていてわかりやすかった。勝てなければどこがわるいのかが議論しやすいので、自然と話題にもなりやすい。
今は、どんな仕組みで行こうとしているのか、すごく伝わりにくい。そうなると、進化してるのか、後退しているのか、勝つ可能性があるのかないのかが素人では議論もできないから、ファンと代表との「共感」が生まれにくくなっていると思う。

そして、もっともっと言うと、これら2つの疑問を生んでいる大きな要因は、日本のサッカーがどこを目指すのかのビジョンの共有が、選手にも、観る側にもなされていないのではないか、ということが気になる。
それこそが、日本代表の選手から、かつての熱を感じなくなっている要因ではないだろうか。
(うまい、うまくない、の話と別と思っている)

wikipediaで調べると、近年のJリーグが掲げるスローガンの変遷はこうだ。

スローガンは「Join!」(1999-2004年)「Amazing,J.」(2005-06年)、「Will Be 見せたい未来がある。」(2007年)


JOIN→AMAZING→WILL BEと、年を追うごとに、聞いてすぐわかるような具体性がなくなっている。見せたい未来ってどういうことかと、詳細の意味をJリーグサイトで調べると、「クラブサッカーの世界水準へ。」となっているが、これは、「クラブサッカーの世界水準を知っている人」のみがイメージができるゴール設定であり、多くの人が容易に共感しやすいものではない気がしてならない。

日本の「サッカーファン」もしくは「他のスポーツも、サッカーも観る人」、または、「たまーに学校や会社で話題になっても話についていける程度に見る人」は、「クラブサッカーの世界水準へ。」なんて大仰なことを望んでるのではなく、サッカーを通じて、「勝利の喜びの共有」、「努力の姿勢への賞賛」、「敗北にくじけない強い心への憧れ」、「グローバルに行われているチームスポーツの素晴らしさ」といった、もっとシンプルで感情に訴える何かを求めているだけではないだろうか。

日本サッカーは、もしかしたら、時を急いているのではないか。そして、設立15年で、現場を忘れ、サッカーを何かちっちゃなものにしてしまってはいないだろうか。


昨日、ゼロックス・スーパーカップの、鹿島アントラーズ×サンフレッチェ広島戦をTV観戦した。

試合内容は、個人ブログを含め、様々なメディアで騒がれているとおり、コミュニケーション力と判断力を欠いた、本当にひどいレフェリーが、ゲームの流れを好きに掻き乱した大惨事となった。アントラーズとサンフレッチェの選手たちは、非常にキレのある、勝利へのあくなき姿勢を前面に出したプロらしいプレーをしていたが、このレフェリーのおかげで、ニュース映像では、素晴らしいプレイよりも、レフェリーがカードを出すシーンと、アントラーズのサポーターの乱闘シーンがメインの扱いとなってしまった。

日本サッカー協会は、このゲームが、「クラブサッカーの世界水準へ。」を体現していると、言うのだろうか。

「クラブサッカーの世界水準へ。」というスローガンを理解し、そのためのロードマップを共有している人間が判断したならば、きっとあの過去の実績があるレフェリーを使うことだけは当然の様に避け、ファンにはJリーグ開幕への期待感をより一層高めるレベルの高いゲームを届ける環境を与え、広告主には、喜んで来年も予算を組んでもらえる結果を生み出すために、徹底的に努力したであろうと思う。

サッカー業界には、過去の栄光にあぐらをかかず、現場視点からの思い切ったロードマップの再構築、および、体質改善と、ビジョン(夢)の具体性向上と共有が、早急に必要な状況にあるのではないかと思った。


※このNumber、結局気になって買って読んでみたら、巻頭付近の金子さんの記事の最後には、「岡田JAPANに心配はなく、むしろ気になるのは日本サッカーの行く末」といった旨の記述があった。「日本サッカーに夢はあるか。」と思ってる人って案外少なくないのでは・・・と思った。



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